子持ち女の鈍感さ

その人の立場にならなければわからないことは沢山ある。

だが、世の中には、相手の立場を十分理解してても、それを言わずにはいられない人間がいる。

それが子持ち女。

 

彼女達は、子供がいないの私たちに向かって平気で言う。

 

子供は宝

この子の存在が私の生きる意味

子供がこの世の全て

この世に子供より大切なものはない

子育てが私を成長させてくれる

子育てより立派な仕事などない

子供を産み育てるのは人として当たり前のこと

子供がいない人はかわいそう

 

 

そうですね、と、私は相槌を打つ。

子供は何ものにも代えがたい宝ですね。きっと私も自分の子供がいたら、そう思うでしょうね。

 

私の母もいつもそう言います、だからその宝物である私が、同じように子供という宝物を持てなかったことをいつも哀れみ悲しむんです。

子育てをしてないから、人間ができてなくてすみませんね。

人として当たり前のこともできなくて、もっと申し訳なさそうに生きた方がいいですか?

 

相槌以外は、言葉には出さない。

ただ笑顔で頷くだけだ。

 

でも、時々、叫び出しそうになる。

わかってる、わかってる、そんなことはわかってる!!!

 

なぜ、面と向かってそんなことが言えるのだろう?

綺麗な人が、美人じゃなきゃ生きる意味がないですね、なんて言うだろうか? 

お金持ちが、貧乏人は生きる歓びをしらないね、なんて言うだろうか?

心の中ではそう思っていても、ほとんどの人はそれを口には出さない。

なのに子供の事だけは、口にしても良いと思っている。

 

何故なら、それが、自然で、当たり前のことだ(と思っている)から。

そして、子供の存在は美しく、賞賛されるべきもので、だからそれを産みだした自分たちが、それについて自画自賛するのは当然の権利だと思っているから。

 

その鈍感さが、私にはどうしても受け入れられない。

 

別に「子育てと同じくらい立派な仕事もあるよ」とか、「皆、それぞれ役割をもって生まれてきたんだよ」とか、「子供はいてもいなくても幸せだ」とか、そんな慰めの言葉を言って欲しいわけでは決してない。

いや、むしろそんな気遣いは力いっぱい遠慮したい。

ただただ、私は放っておいて欲しいだけなのだ。

 

何故わざわざ子なしの我々に向かって、自分たちがどれほど幸せかと力説する必要があるんだろう。

子育てしてる人って、視線が下がってるから、くだらないマウンティングをしたがる傾向にあるんじゃない?

 

私は意地悪く心の中でそう呟いてみる。

そんな風にしかとらえられない私は、本当に可哀そうな人間なんだろう。