結婚

末井昭の結婚、ようやく図書館の貸出の順番が回ってきて、速攻読了。
その日、私は夫に腹を立てていた。だから、ほとんど口もきかず、不貞腐れて本に隠れていた。
怒りの炎を燃料に、久しぶりに集中力してあっという間に読了した。

考えてみれば、私が神蔵美子を知ったのも、坪内祐三を知ったのも、全てはこの本の書評が始まりだったのだから、末井昭には感謝しなければならないのだが、そのきっかけとなったこの本自体には、神蔵美子の文章から受けた、圧倒される程の情念や愛情、坪内祐三のもつ知識の泉や文化、そういった刺激は何もなかった。
結局のところ、この人が書くものは(私が読んだ限り)ほぼ「ダイナマイト心中した母親」一発芸で、そのインパクトの強さで勝負しているようにしか思えない。そういうのって最初は物珍しいけど、何度も聞くと「前にも聞いたよそれ」って思っちゃう性質。
なぜ彼の妻である神蔵美子が、坪内祐三と離婚してまでこの人を選んだのか、さっぱりわからなかったし、この本を読んだところでやはり、その疑問は解けない。
男と女というのは理性でないということがよくわかるというものだ。

ただ、彼が信奉している「イエスの方舟」の教祖の千石剛賢の聖書解釈がかなり面白かった。曰く「男の人生において最高に意義あることは、女を愛することにある」「女は男を愛せない」など。
あー、夫に読んで聞かせてやりたい。
末井昭は千石の説教を「隠されていた聖書」という本にまとめて出版したらしいのだが、その本はすでに絶版で手に入らない。残念。ちなみに版元は太田出版。この頃の太田出版はホント攻めてたよなぁ。

ちなみにこの人も子供がいなくて、一時期は不妊治療もしたらしい。子供がいないってことは少しテーマにもなってて、最後に高橋源一郎との対談が載ってるんだけど、源ちゃんがやたらと子育て礼賛するんで、なんだかなぁって気分になって余計に読後感が悪かったわ。(源ちゃんが「僕は子育てでしかそれが学べなかったけど、末井さんは結婚で学べたんだね」的な発言するのに激しく興覚め。)
対談はもうひとつ収められてて、それは先日ガンでなくなったECD奥さんの植本一子とのもの。こっちの方がこの本のテイストによく合ってる気がした。(私的には首肯できることは何もなかったけど。)しかし女性写真家ってキチガイばっかりだよな。なんでなん?

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